〒108-0014 東京都港区芝5-32-12
山手線 田町駅より徒歩3分 / 都営地下鉄 浅草線・三田線 三田駅A7出口より徒歩1分
企業が1人でも労働者を雇用する時、正社員やパートといった雇用形態に関わらず、直接雇用する人については賃金や労働時間、休暇などの労働条件を書面で明示する必要があります。
この書面のことを一般的に「労働条件通知書」と呼んでいます。
労働条件の明示(書面交付)のタイミングは、
① 労働者を募集するとき(求人票や募集要項で明示)
② 労働契約を締結するとき
③ 労働契約の内容を変えるとき
となります。
労働条件の明示や書面の交付については、労働基準法で義務付けられています。
労働基準法第15条(労働条件の明示)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が
事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
この「明示」については、必ず明示しないといけない「絶対的明示事項」(6項目)と、会社で定めている場合には明示しないといけない「相対的明示事項」(8項目)があります。
※労働条件の明示のうち、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」および労働条件に関する相談窓口に関しては、パートタイム労働法の規定によりパートタイム労働者を雇用する際に明示しないといけません。
■労働条件通知書のサンプルについて
厚生労働省のホームページに「労働条件通知書」のサンプルがあります。
このひな型はモデルなので、そのまま使うと処遇が手厚くなる企業もあります。
労務トラブルを避けるためにも、設けていない制度などは削除するなどして必ず自社用にアレンジしてください。
参考:厚生労働省 一般労働者用モデル労働条件通知書(常用、有期雇用型)
労働条件通知書の交付は書面が原則となります。
ただし、2019年4月以降は労働者が希望した場合に限り、FAXや電子メール、SNSのメッセージで通知することができるようになりました。
その場合は、印刷して書面を作れるようにしなくてはいけないので、HTML形式で表示できるようにする、書面をPDF形式にして添付するなど工夫が必要になります。
■募集時
2018年の職業安定法改正により、募集時にも労働条件の明示が必要となりました。
募集時は、まだ雇用に至っていないため、求人票や募集要項で明示します。
求人票のスペースが足りない等、やむを得ない場合には、「詳細は面談の時にお伝えします」などと書いた上で、労働条件の一部を別途明示することも可能です。
ただし、この場合は初回の面談等、会社と応募者が最初に接点をもつまでに、全ての労働条件を明示すべきとされています。
参考:労働者を募集する企業の皆様へ|厚生労働省
■入社時および労働条件変更時
入社以降は「労働条件通知書」で労働条件を明示します。
ただし、就業規則を作成している会社は、その就業規則に対象となる労働者に適用される労働条件が具体的に規定されている場合、労働者一人ひとりに対し、その労働者に適用される部分を明らかにしたうえで就業規則を交付すれば、労働条件通知書を交付しなくても良いとされています。
労働条件を明示はコンプラ対応です。
明示しなかった場合は、罰則が適用されてしまいます。
■労働基準法
労働契約を締結する際に労働条件の明示をしなかった場合、労働基準法第120条にもとづき30万円以下の罰金となります。
■パートタイム労働法
また、雇用者がパートタイム労働者だった場合は、パートタイム労働法にも違反することになり、行政指導によっても改善がみられなければ、パートタイム労働者1人につき契約ごとに10万円以下の過料に処せられます
労働条件の明示は書類の作成や手続きなど手間がかかりますが、丁寧に対応することで労働者が安心して働くことができ、会社への信頼感が持たれます。
社会保険労務士が労働条件通知書を作成することもできますので、どうぞご相談ください。