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労働法令では、人数規模により対応することが決められています。
スタートアップやベンチャー企業は事業拡大とともに従業員の規模も大きくなっていきますが、「どのタイミングで何をしなくてはいけないのか分からない」というお悩みを伺います。
昨今の投資家は、非財務情報として人事労務に関するコンプライアンスの遵守状況について高い関心が寄せられていますので、特に、将来、IPOやM&A(Exit) を考えている企業においては早いうちからきれいにしておくと良いでしょう。
今回は、成長ステージに応じて何が求められるのかまとめてみました。
どうぞご参考にしてください。
シードステージは、アイディアやコンセプトがまだ具体的な形になっていない事業の立ち上げ準備段階です。
そのため、創業メンバーと共に活動していきます。
この創業メンバーが会社法上の取締役の場合は「労働者」に該当しないため労働基準法が適用されませんが、誰かを従業員として雇用する場合やフルタイムではないパート・アルバイトを雇用する場合は対象者が1人でも労働基準法が適用されます。
■従業員数が1人でも対応すること
なお、三六協定は締結するだけではなく、社内へ周知するまでがセットです。
アーリーステージは、初期のプロダクトができて収益化に取り組んでいる段階です。
収益化していくためにメンバーの増員を行うため、従業員数が20人程度の規模に拡大していきます。
シードステージのころのメンバー(創業メンバー)は事業への志や仕事に対するスタンスが比較的に似ていることが多いですが、アーリーステージで増員するとそうもいかなくなります。
労働基準法では従業員が10名になると「就業規則」という働き方等に関する会社のルールブックを作成することが義務付けられています。
多様な価値観をもったメンバーが共通ルールを認識し、気持ちよく働いてもらうには就業規則は良いツールになります。
■従業員数が10人になったら対応すること
就業規則も三六協定と同じく、作成だけでなく社内へ周知するまでがセットになります。
労務トラブルが起きた時に、就業規則を周知していなかったことから会社の言い分が通らず裁判で負けてしまうケースもありますので、周知は大事なポイントになります。
また、雇用を急激に拡大すると、人材の定着に課題も出てきます。
オンボーディング(入社時のオリエンテーションや教育)や1on1(面談)等を行っていくことで早期離職の予防に繋がります。
ミドルステージは、事業が軌道にのってきて、スケールすることが期待できる段階です。
仕事の進め方も個人の頑張りから、組織的な活動に変化していきます。
事業をスケールしていくためにより多くの人材の確保が必要となりますが、50人規模になってくると労働安全衛生法に基づいた安全や健康の確保などが義務づけられています。
■従業員数が50人になったら対応すること
衛生委員会は、例えば長時間労働からのメンタル不調防止に向けた施策など、従業員の健康や労災(衛生に関わる案件)の再発防止を話し合う委員会です。
委員会の構成メンバーも指定されていて、委員の一人に「衛生管理者」資格のある人を入れなければいけません。
試験日程は、 安全衛生技術試験協会 のホームページから確認できます。
また、障害者雇用促進法に基づき、一般企業においては従業員の2.3%(2024年4月からは2.5%、2026年7月からは2.7%)以上の人数の障がい者を雇用するよう義務づけられています。(従業員数が43.5人(2024年4月からは40人、2026年7月からは37.5人)になったら、障がい者を1人雇用するとイメージしてください。)
しかし、障がい者の採用市場は一般の採用市場よりも売り手市場になっており、採用に結び付けるのはなかなか困難です。
従業員数が100人規模になっても障がい者を1人も雇用していないとハローワークから行政指導が入りますので、長期戦で採用活動することをお勧めします。
レイターステージは、経営が徐々に安定してきた段階です。
この段階になって、IPOやM&A(Exit) を具体的に検討していくことになります。
事業拡大により、従業員規模も100名を超える会社も出てきます。
100人を超えてくると、労働基準法や労働安全衛生法だけでなく様々な労働関連法令への対応が求められてきます。
■従業員数が100人になったら対応すること
「くるみんマーク」「えるぼし」といったキーワードを聞いたことはありますか?
次世代育成法や女性活躍推進法は行動計画の策定だけでなく、これらの認定も行っており、行政への入札時に加点される、採用時のアピールポイントに活用できるなどのメリットもあります。
社会保険労務士は労働関連法令の専門家であり、一般事業主行動計画の策定など書類作成や届出の代行も法的に認められています。
会社の規模が小さいうちは社内に人事専任者をおくことは難しいので、ぜひとも社会保険労務士をご活用ください。